自宅でコーヒーを焙煎するなら知っておきたい9つのこと

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自宅でもコーヒー焙煎ができると知って「始めてみようかな」とお考えの方に事前知識として知っていただきたいことをまとめました。コーヒー焙煎は「沼」と呼ばれるほど面白くて興味深いものです。自宅でのコーヒー焙煎について知る一助となり、迷っている方の背中を押せたら幸いです。

1.自宅でコーヒー焙煎は本当にできる?

できるんです。しかも、やり方によってはプロの焙煎師の方が焙煎したのと同じくらい上手にできたりします。

コーヒーの生豆を高温で炒るのですが、高温といっても自宅のガスコンロでも十分に出せる温度です。

では、プロとはなにが違うのかというと、プロは大量に焙煎をしますので大型の機械を使っているというのと、多種多様な産地、銘柄、豆の状態などあらゆる要素に応じた焙煎をするための目利きであるということです。

その点、自宅で自分や友人、家族がコーヒーを飲む少しの分量であれば、自宅の家庭用の焙煎道具で十分ですし、豆に合わせた焙煎も同じ豆で何度も練習をしていけば感覚を掴んできます。

2.そもそもコーヒーの焙煎とは?

コーヒーの焙煎とは、コーヒーの生豆を加熱して、味わいや香りを出す加工のことです。

コーヒーは、農園で栽培されているときは赤い実で、コーヒーチェリーと呼ばれています。

このコーヒーチェリーの種を取り出して、乾燥させたものがコーヒー生豆です。

旨味や香り、味わいを生み出す化学反応

生豆を加熱することで、「メイラード反応」「カラメル化」と呼ばれる化学反応が起こります。
お肉やパンなど、焼いていくとこんがり、きつね色~茶色になりますよね。
それと同時にとても良い香りが立ってくると思います。

同じ現象がコーヒー豆にも起きるのです。

焙煎の度合いは、8段階に分けられ、焙煎が浅いと酸味、深いと苦味が出てきます。

3.自宅でコーヒー焙煎をするのは得なのか?

自宅でコーヒー焙煎ができるとして、自宅でやるべきなのでしょうか。
「餅は餅屋」と言いますし、プロに任せたほうがよいのでは?そう思われるかもしれません。

自分で焙煎するとかなり経済的

実際、コスト面でいうと、自宅でコーヒーを焙煎したほうが、長い目でみると安くなると思います。

焙煎されたコーヒー豆はお店で買うとだいたい200gで800円~1,000円くらいでしょうか。

1杯あたり10gのコーヒー豆で入れるとすると、
焙煎されたコーヒー豆購入する場合の1杯あたりの費用は40~50円です。

一方で、生豆はだいたい1000gを安ければ1,000円~購入できます。
焙煎をすると15%ほど水分が抜けるので、1,000円で850gの焙煎豆ができます。

同様に1杯あたり10gのコーヒー豆で入れるとすると、
生豆を焙煎した場合は、1杯あたりの費用は8.5円~です。

焙煎豆を買うと40円~50円、自分で焙煎したら8.5円~と、かなり経済的ですね。

もちろん、自宅で焙煎をする場合は、道具を揃える費用と、火を使うのでガス料金がかかります。
ただしそれを加味してもランニングコスト的にはかなり抑えられると思います。

コーヒーの味は・・・?それは腕次第!

コストは安いとして、最終的にカップに注いだときの香りや味わいはどうなんでしょう?

それは、本当にご自身の腕次第です。

やはり、プロはプロが選んだ生豆を使います。
自宅でコーヒー焙煎をする場合は、生豆から自分で選ぶので、良質な豆を入手できるかどうかが味に影響します。

コーヒーもある意味で料理みたいなもので、良い素材を手に入れることが美味しいコーヒーにするうえで非常に重要なことです。

また、コーヒー生豆のなかには、欠点豆といって、虫に食われていたり、カビが生えていたり、変色していたりするものもあります。そういった豆ができるだけ少ない仕入先を持っているのもプロの強みです。

それに、焙煎器具の選定や実際の焙煎作業をしっかりできるかも重要ですね。

豆の特徴を見極めたり、季節やその日の気候に応じて適切な火の入れ方、加熱時間や換気などを調整して、狙ったどおりの味や香りを引き出す技術のことです。

これはプロならではの技術ではありますが、趣味でコーヒー焙煎をやっている人は、その見極める、こだわりの過程を楽しんでいたりします。

ポイント

この部分を面白いと思えるか、面倒だと思うかが、自分でコーヒー焙煎をするかどうかの分かれ目になるかと思います。

4.自宅でコーヒー焙煎することのデメリット

自宅でコーヒー焙煎をすることのメリットは、上記にあげたようなコスト面で経済的だということと、自分でコーヒー生豆を選んだり、美味しく焙煎するために創意工夫をするのが面白いということだと思います。

では一方でデメリットはないのか?というと、人によってデメリットだったり注意すべきことはあると思います。

焙煎に失敗する

例えば、仮に焙煎が失敗してしまった場合です。
焼きムラが多くなってしまったり、豆が焦げてしまったり、エグみが出てしまったり。。
失敗すると「飲めたもんじゃない」コーヒーになってしまうこともあります。

せっかく経済的なのに、失敗して飲めなかったら逆に高く付いてしまうかもしれません。

掃除が必要

コーヒーの生豆には「チャフ」という茶色い薄皮がついています。

コーヒーを焙煎すると、チャフは剥がれていくのですが、炎で焙煎する以上、上昇気流が発生するので、チャフが舞い散ります。

キッチンのコンロで行うと、最大で半径1メートルくらいにチャフが飛ぶ可能性があります。
サラサラしているので、こびりつく汚れではありません。
掃除機をかけてしまえば、ものの数十秒できれいになるのですが、それを手間だと感じる場合はデメリットになる可能性があります。

匂いが発生する

コーヒーを焙煎すると、コーヒーの香ばしい匂いが立ち込みます。

非常に良い香りで、私は大好きです。きっとこのページを読んでいただいているコーヒー好きな方も、良い香りと感じられると思います。

一方で、コーヒーがあまり好きでない方にとっては「嫌なニオイ」な可能性もあります。

住宅街の密集地の場合は、隣の家まで匂いが届く可能性もあるので、予め注意が必要だと思います。

5.自宅でコーヒーを焙煎する方法はなにがある?

自宅でコーヒーを焙煎するには、以下のような方法があります。
ざっくりと9つに分けてご説明します。

①手動式

手動式とは、専用の容器にコーヒー豆を入れて、ガスコンロなどの熱源で焙煎する方法のことです。

ただし、手動式にもいろんなタイプがあります。

片手で持つ手煎り焙煎器・手動で回転するコーヒー生豆焙煎器、耐熱陶器製の焙煎器などです。

メリットは自分のお好みの味のコーヒーの焙煎ができることです。

デメリットは難易度が高く、コーヒーの焙煎ができるようになるまで期間がかかることです。

➁電動式

電動式とは、コンロの上にセットするだけで、アミ目のドラムが電動で回る焙煎方法のことです。

やり方はコンロの上にドラムが搭載されたボックスを載せ、スイッチを入れると一定の速度でドラム式チャンバーが回転してコーヒー豆を焙煎してくれます。

メリットは均一に焙煎できることです。

デメリットはコンロの火加減の調整が必要なことです。

➂自動式

自動式とは、スイッチをオンにするだけで、全ての焙煎工程を自動で行う焙煎方法のことです。
イメージとしては電子ジャーのようなものになります。

メリットは焙煎時間・温度などを細かく設定することができ、焙煎ムラや失敗が少ないことです。

だれがやってもそれなりの焙煎ができます。

デメリットは価格が高いことです。

④直火焙煎式

直火焙煎式とは、アミタイプの容器に生豆を入れて、直火で炒る焙煎方法のことです。

一般的に熱源はガスコンロが使われます。

メリットは風味や香りが良い焙煎ができることです。

デメリットは火加減が難しく、炒りムラが出やすく難易度が高いことです。

WAGAYA ROASTERも、この直火焙煎機の一種ですが、
初心者の方でも、炒りムラが出にくい設計になっています。

⑤熱風焙煎式

熱風焙煎式とは、コーヒー豆が入った容器に高温の熱風を当てて、焙煎する方法のことです。

メリットは直火焙煎式と全く逆で、容器内の温度が一定になりやすく、炒りムラが少なく、均一に焙煎することができることです。

大手のコーヒーチェーン店でよく採用されています。

デメリットは直火焙煎式と比較すると、個性がない焙煎になることです。

⑥半熱風焙煎式

半熱風焙煎式とは、直火焙煎式と熱風焙煎式の両方をミックスした焙煎方法のことです。

基本構造は直火焙煎式になります。

直火で生豆の入ったアミなし容器を熱してそのまま炒りながら、熱せられた熱風も容器に送り込む方式です。

メリットは味わいが直火焙煎式よりも軽やかになり、熱風焙煎式よりも味が安定します。

デメリットは直火焙煎式のようなはっきりした個性が出にくく、熱風焙煎式ほど一度に大量に焙煎ができないことです。

⑦遠赤外線焙煎式

遠赤外線焙煎式とは、セラミック遠赤外線焙煎器を使った焙煎方法のことです。

セラミック遠赤外線コーヒー焙煎機 SR 1T 1kg

特徴は備長炭(びんちょうたん)と同じ遠赤外線を発するセラミック遠赤外線焙煎器を使って生豆を焙煎することです。

遠赤外線はコーヒー豆を分子レベルで振動させて焙煎することから、コーヒー豆の繊維を壊さず、雑味・苦味・渋みを抑えられます。

逆に香り・甘み・コクが強くなり上質なコーヒーに仕上がります。

メリットはコーヒー本来のうま味がでて、芳醇な香りを持ったコーヒーが楽しめることです。

デメリットはセラミック遠赤外線焙煎器の価格が一般家電からみると高価格なことです。

⑧マイクロ波焙煎式

マイクロ波焙煎式とは、マイクロ波併用粉体加熱装置を使った焙煎方法のことです。

マイクロ波とは、電子レンジなどに使われている熱源のことで、電波加熱のことになります。

【マイクロ波焙煎】電子レンジ焙煎の圧倒的能力

マイクロ波焙煎をすることで、コーヒー豆の内部から加熱することができ、効率的に高品質な焙煎が可能です。

メリットはコーヒー独特の苦味やアクが半減し、まろやかで飲みやすいコーヒーに仕上がることです。

デメリットはマイクロ波併用粉体加熱装置が一般家電からみると高価格なことです。

⑨炭火焙煎式

炭火焙煎とは、焙煎の熱源に炭火を使った焙煎方法のことです。

一般的に炭火焙煎には備長炭(ウバメガシの炭)が使われます。

備長炭で加熱すると、コーヒー豆に対して遠赤外線が放射され、表面から中心部にかけてゆっくりと均一に焙煎が進み、炒りムラのないすっきりとしたコーヒー豆に仕上がります。

炭火考察(コーヒー炭火焙煎) 2014

メリットは備長炭の持つ独特の香りと、コーヒー豆本来の香ばしい香りの2つを同時に楽しむことができます。

デメリットは備長炭の火力を一定に保つことが難しく、安定した火力を維持するには、ある程度経験が必要なことです。

7.コーヒー焙煎にかかる費用や時間は?

コーヒー焙煎にかかる費用は、冒頭に申し上げたとおり、安く抑えれば1杯あたり10円以内で実現できます。

ただし、あまりに高級な生豆を買ったり、あまりに高い焙煎機を購入すると、高くついてしまう場合もあります。

コーヒー焙煎の費用
 =生豆代+焙煎機代+光熱費

最初からあまり大きな焙煎機は買わずに、手軽にできるハンドタイプの焙煎機にしたほうがよいでしょう。

所要時間は諸々合わせて30分くらいで焙煎できる

コーヒー焙煎にかかる時間は、焙煎するコーヒー豆の量にも依りますが、準備から後片付けまで含めて、慣れれば30分ほどでできると思います。

1週間分のコーヒー豆200gを休日に30分かけて焙煎するようなイメージですね。

8.コーヒー焙煎の失敗パターンは?

自宅でコーヒー焙煎をする場合、時には失敗するケースもあります。
以下のような失敗パターンがありうると思います。

炒りムラができてしまう

よくある失敗パターンです。コーヒー豆に均一に熱が入らずに、ある豆は焦げてしまい、ある豆は生焼けになってしまうケースです

例えば、焙煎機の容量に対して多すぎる生豆をいれて焙煎してしまった場合、うまく焙煎中に豆が撹拌されずに炒りムラが起きる可能性があります。

焦げてしまう

焦げてしまうと強い苦味と渋みがでて、香りも焦げ臭さで消えてしまいます。

生焼けになってしまう

生焼けだと、逆にコーヒーの焙煎された香りが出る前に焙煎がストップしてしまっています。
この場合も独特の臭みがあり、美味しく感じられません。

また、生焼けは見た目ではわからないこともあります。
外側は褐色でよく焼けているように見えても、割ってみると中は白っぽいこともあるので注意が必要です

煙たい味になってしまう

炒りムラがなく、見た目は問題ないように見えても味が悪いこともあります。

焙煎機に加えられた熱をもった空気は、コーヒー豆を熱したあとの出口をつくる「排気」の必要がありますが、この排気がうまくいかないと、煙たい匂いがコーヒー豆についてしまうことがあります。

良い香りがしない

コーヒー豆の香りをうまく引き出せないのも問題です。

せっかく焙煎して、焙煎中はコーヒーの香りがしたのに、いざ抽出して飲んでみると香りがしないということもありえます。

これは、焙煎に時間をかけすぎてしまって、焙煎中に香りの成分などがすべて飛んでしまっているなどということが原因として考えられます。

お料理でも、お肉や野菜など、パパっと短時間で加熱をしつつ、中まで火を通すのが美味しく作る秘訣ですが、焙煎も同じですね。

エグみが出ている

抽出したコーヒーが美味しいどころか、エグみがあってまずいという場合もあります。
悲しい結果ですが、これにも原因があります。

先程申し上げたように、焦げてしまったり、生焼けだったときにもエグみが出てきます。

また、焙煎前のハンドピッキングが甘いとエグみが出てくることもあります。
ハンドピッキングとは、生豆から欠点豆を取り除く作業ですが、これがちゃんとできていなくて、
カビ豆だったり虫食い、変色豆が入ったまま焙煎して、淹れたコーヒーはエグみが出てしまいます

手順にしたがって焙煎すれば失敗は回避できる

失敗パターンをいくつか掲示してみましたが、基本的には手順したがって焙煎すれば大きな失敗はしないかなと思います。

当サイトでも初心者の方向けに焙煎手順をご説明しています。

9.はじめるにはまずなにをしたらよい?

自宅でコーヒー焙煎を始める場合、まずは焙煎道具とコーヒー生豆を揃えるところからはじめましょう。

このページの中盤でお伝えした①~⑨の中からご自身に合いそうな焙煎方法を選んでみてください。

また、当サイトではWAGAYA ROASTERという、焙煎に必要な道具をすべてセットにした商品を販売中です。

コーヒー生豆もあらかじめ厳選したものを同封していますので、届いたらすぐにコーヒー焙煎にチャレンジいただけます。

まとめ

自宅でコーヒー焙煎を始めてみようかなと思われた方に向けて事前知識を9つにまとめてお伝えさせていただきました。

正直、自分で焙煎すると時間や手間がかかりますし、プロのように美味しく焙煎するには練習も必要です。

ですが、自分が引き出したい香りや味を、焙煎の仕方を調整することでうまく引き出す(味と香りをコントロールできるようになる)と、コーヒー焙煎はすごく楽しくなると思います。

ご自宅で過ごされる時間が増えているいま、新たな趣味としてコーヒー焙煎に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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自宅でのコーヒー焙煎を初めてチャレンジする人を応援する「焙煎セット」を販売しています。上品で贅沢かつ、マニアックなコーヒーの趣味の世界へようこそ。
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